2020年1月24日
受賞のお知らせ:第32回福岡県美しいまちづくり建築賞 住宅の部 優秀賞
福岡県内の個性豊かで、美しく、良好な景観を形成する建築物を表彰し、美しいまちづく りに対する県民意識の醸成を図ることを目的として実施している「福岡県美しいまちづくり 建築賞」の第32回受賞作品に里山ながや・星野川が選ばれました。(応募数63件)
「住宅の部」では、地域社会や周辺環境との関係性、社会的資源である木材の活用等を主題戸建住宅2作品、集合住宅2作品の4作品が第1次選考を通過しました。優秀賞の「里山ながや・星野川」は、都市ではない場所に地域社会を築くあるいは取り戻す建築づくりの実践が高く評価されました。
住宅の部・優秀賞
作品名:里山ながや・星野川/設計者:有限会社アトリエ・ワン
●講評
都市ではない場所で、地域社会を築くあるいは取り戻す建築づくりの実践が高く評価されました。
農村地域への移住促進を謳う支援制度は数多くありますが、移住希望者にとって手軽に賃貸できる住宅は少なく、多くは初期段階で断念します。廃校跡地を借り受け、民間企業が建設・運営し、自治体が家賃の補助を行うというそれぞれのリスクを最小化した公民連携スキームによる「里山ながや・星野川」では、そういったしばらく試しに住んでみたいという移住希望者を受け入れています。農家は個人ではない歴史を持った複合的な家族であり、「長屋」という形式が連関する農村地域への入門バージョンとして合致します。
地域産杉材による厚板、伝統継手仕口で構成される骨太な民家型構法である現代版板倉を用い、その技術的難点もクリアしながら地元工務店と若手大工がつくりあげ、里山に還るような木の香りに包まれた清々しい「長屋」となりました。
森林資源と地域の力によるこの「長屋」からは、里山を舞台とする暮らしの新たな始まりがあることが実感できるとともに、地域社会を取り戻し、里山を考える多様な物語が生まれそうです。